「龍虎の拳」は100メガショックと言わざるを得ない:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/3 ページ)
連載第74回にして、初めてSNKのゲームを取り上げます。ネオジオの「龍虎の拳」。100メガビットものデータ量を生かして、独特のシステムに加え、ストーリー性も盛り込んだ、人気の対戦格闘ゲームでした。現在でも、Wiiやプレイステーション 2で遊べます。
「そこら中で派手にやったる」
大阪のキタとミナミをつなぐ大動脈といえる、地下鉄御堂筋線。その北側の終点が、SNKプレイモアの本社がある江坂駅だ。
ただし終点といっても、線路はさらに北へと続いている。ここから先は北大阪急行電鉄という別会社の路線だが、御堂筋線とは一体運用されている。なかもずから天王寺、なんば、梅田、新大阪を通ってここまで来た電車のほとんどは、そのまま北大阪急行に乗り入れ、千里中央まで至る。
江坂から北大阪急行でひと駅。緑地公園駅で降りて外に出ると、服部緑地という広い公園がある。面積は甲子園球場の約33倍。ちょうど桜が見頃を迎え、家族連れでにぎわいを見せていた。ちなみに江坂−緑地公園間はたったの80円。北大阪急行は鉄道ファンの間で、初乗り運賃が日本一安い路線として知られている。
北大阪急行は、万国博覧会会場への輸送機関として、1970年に開通した。万博の期間中は千里中央からさらに東へ線路が伸びていて、万博会場まで達していた。
現在、千里中央と、会場跡地の万博記念公園を結んでいるのが大阪モノレール。伊丹の大阪空港から、千里中央、万博記念公園、そして門真市までつながる長い路線で、さらに万博記念公園から彩都西への支線もある。
万博記念公園も桜が満開。江坂からはやや離れているが、江坂と同じ吹田市に属する。
万博記念館で、各パビリオンの展示品やスタンプ、記録映画を見ると、当時の人々が抱いた未来への期待がうかがえる。その反面、当時から見た未来は現在から見れば過去であることを実感し、時の流れを感じてしまう。
テレビゲームも同じ、というか技術の進歩が速いため、時代の流れも速く感じられる。かつて「100メガショック!」というキャッチフレーズで大容量をアピールしたネオジオのゲームが、今ではWiiのバーチャルコンソールで、ダウンロードできてしまうのだ。
「すごいゲームを連れて帰ろう」
家庭用ゲーム機の性能がものすごく高くなった今では考えられない話だが、ほんの十数年前までは、アーケード(ゲームセンター)のゲームを家庭用機に移植しようとすると、かなりのスケールダウンを余儀なくされたものだった。
例えば、「アウトラン」(セガ)がアーケードに登場したのは1986年だが、この年の家庭用ゲーム機では、ようやくファミコンにディスクシステムが出た頃。アーケードとファミコンでは、それほど差があったのだ。
ネオジオはSNKから、1990年、つまりスーパーファミコンと同じ年に登場した。最大の特長は、アーケード用ゲーム基板「マルチビデオシステム(MVS)」と互換性があり、MVSで発売されたゲームが、家庭でもほぼそのままの形でプレイできたことだ。
そのかわり、価格がかなり高かった。家庭用ネオジオ本体が5万8000円。ゲームソフトは安くても1本1万数千円、高いものは2万円以上(後に3万円を超えるソフトも多数現れた)。いくらアーケードそのままのゲームが遊べるといっても、敷居が高すぎる。そのため当初は、レンタルビデオ店での貸し出しが行なわれていた。初めのうちはソフトがまだ少なかったため、話題にはなっていたものの、実際に触れたプレイヤーは少なかったと思われる。
そんなネオジオだが、対戦格闘ゲームがブームとなったことで転機を迎えた。「餓狼伝説」(SNK)や「ワールドヒーローズ」(アルファ電子)のヒットにより、これらを家で練習できる、家庭用ネオジオの需要が高まったのだ。
「100メガショック!」というキャッチフレーズは、1992年からデータ容量が100メガビットを超えるソフトが作られるようになったため、それをアピールしたもの。当時のほかの家庭用ゲーム機では、4メガから16メガくらいのソフトが一般的だったので、100メガという数字はインパクトが強かった。
そんな100メガビットを超える大容量のソフトが、今日ではWiiのバーチャルコンソールで購入できる。ダウンロードにかかる時間が意外と短いことに、時の流れを感じてしまう。かつては2万円以上したソフトも、今ではたった900Wiiポイントだし。
さて、容量100メガを超えたソフトの第1弾が、今回取り上げる「龍虎の拳」である。
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