第11回:開発者VSプレイヤーの知恵比べ? あの手この手で編み出されたボーナス得点システムの数々なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/3 ページ)

» 2011年07月14日 09時48分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

 次にご紹介するのは、アクションゲームでゴール地点にたどり着くと加算されるクリアボーナスのシステムについてです。

 クリアボーナスの典型的な例としては、任天堂が1985年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売した「スーパーマリオブラザーズ」があります。ゴール地点でタイミングよくジャンプして、旗(ポール)の高い場所につかまるほど高得点が入るシステムになっていることは多くのみなさんがご存知のことでしょう。このようなゴールしたときの状況・条件次第でボーナス得点が変化するシステムは、調べてみると本作以前に発売された作品でも登場した例があることがわかります。

 その代表例は、ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が1984年にアーケード用ゲームとして発売した「パックランド」。本作では、ゴール地点でジャンプをするとそのタイミングによって10〜7,650(ナムコ)点が入るという、ちょっとしたお遊び的なボーナスが存在します。オマケのようなボーナスとはいえ、プレイヤーとしては当然ながら100円で少しでも長く遊ぶために得点を稼いでエクステンドを目指すことになりますから、見事7,650点(※地面に着地する直前ギリギリのタイミングで主人公のパックマンを静止させる)を出すことに成功したときは気分爽快です。

ムービー:「パックランド」
※PS版「ナムコミュージアムvol.4」を使用。
(C)1996 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

 また、同じくナムコが1985年に発売したアーケードゲームの「メトロクロス」では、コース上にときどき出現するスケボーに主人公を乗せて、途中で一度も転ばずにゴールすると1万点のボーナスがもらえるようになっています。スケボーは敵であろうと障害物であろうと触れた瞬間に即なくなってしまいますから、ボーナスを得るためにはミスの許されない高い技術が求められます。しかも、スケボーに乗っている間はジャンプで敵を避けることができません(※ジャンプするとスケボーが消えてしまう)ので、プレイヤーは普通に走っているときとは全然違う攻略パターンの構築を楽しむことができるのです。

 さらにゴール地点にあるバー(ゲート)を、その直前にあるクラッカーの反動を利用して跳び越える(通称:「クラッカージャンプ」)と5千点が入るという面白いアイデアも盛り込まれています。このボーナスを獲得する場合にも、やはりジャンプのタイミングと軌道を正確に操作するテクニックが必要となります。

 今回ご用意したムービーには、上記2種類のクリアボーナスに加えて、ステージの途中で新しいスケボーに乗り継ぐと獲得できる隠しボーナスを獲得した場面も収録してあります(これまた面白いアイデアですね!)ので、ぜひご覧になってみてください。

ムービー:「メトロクロス」
※PS版「ナムコミュージアムvol.5」を使用。
(C)1997 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

 今度は同じ種類の敵を倒し続けると隠しボーナスが入るという例を取り上げます。

 任天堂が1985年に発売したファミリーコンピュータ用レースゲームの「マッハライダー」は、コース上に出現する敵の車をマシンガンで撃つか、側面からの体当たりでコース外に押し出して路肩にあるドラム缶にぶつけて破壊すると得点が入るようになっています。よって、出てくる敵を片っ端から倒していけばハイスコアの獲得は間違いなし……なのかというとさにあらず! 実は本作では、同じ色の敵を10台連続で倒すとファンファーレが鳴り、ボーナスが加算される隠し技があるので、ステージによってはこの方法を使ったほうがより多くのスコアを稼げるようになっているのです。ただし、途中で色の異なる車を倒した場合は最初からまたやり直しになってしまいますから、このボーナスを獲得するには違う色の邪魔な敵をやり過ごしつつ、狙った色の敵を正確に仕留める技術が要求されることになります。

ムービー:「マッハライダー」には同じ色の敵を連続で倒すとボーナスが入る面白いアイデアがあります(※Wiiバーチャルコンソール版を使用)
(C)1985-2007 Ninetendo

 これと同様のボーナスシステムは、先ほども紹介した「レイディアントシルバーガン」にもあります。本作に登場する敵は赤、青、黄色のいずれかの属性があり、同じ色の敵を連続で3機破壊するごとにチェーンボーナスが加算されるようになっています。ボーナス得点はチェーンをつなぐたびにどんどん跳ね上がり、最初は数百点レベルだったのが最高でなんと10万点にまでアップします。色の異なる敵の攻撃を避けながら、同じ色の敵だけを狙って撃つパターンを作るのは正直かなり骨が折れますが、その分苦労の末にうまくチェーンがつながったときは本当に快感です。

 同じく、トレジャーが2001年に発売した「斑鳩(いかるが)」でも、黒または白色の敵を3機連続で倒すとチェーンボーナスが入ることは、シューティング好きの方であればよくご存知のことでしょう。

3:ストイックなボーナスシステムに秘められた「狙い」とは?

 以前の当コラムでも取り上げましたが、主にアクションゲームにおいてステージクリア時にストックしていたアイテム数に応じたボーナスが加算される例は、今も昔も非常に多くの作品において見ることができます。

 勲章などの得点アイテムとは別に、敵の弾や攻撃を瞬時に消し去る緊急回避用アイテムである、いわゆるボンバーのストック数によってボーナスが入る作品も昔から少なからず存在します。アクション・シューティング好きの人であれば、ボンバーはなるべく温存して得点を稼ぐのか、それとも安全第一で惜しみなく使用するのか、プレイ中に迷ったり悩んだりした経験がきっとあるのではないでしょうか?

 このようなボンバー1個につき何点、というストックボーナスのシステムをさらに発展させた例として特に面白いのが、アトラスが1995年に発売したアーケードゲームの「首領蜂(ドンパチ)」。本作では、ステージクリア時にボンバーのストック数×1万点のボーナスに加えて、ボンバーのキャパシティ(最大ストック容量)に応じた得点が同時に加算される仕組みになっています。

 ゲーム開始時のボンバーのキャパシティは3個と決まっていますが、ゲーム中に一定回数のボンバーを使用するごとに枠が増加して、最大7個まで増やすことが可能です。ボンバーを使えば使うほどキャパシティが増えるのは確かにありがたいのですが、実はステージクリア時にもらえるボーナスはキャパシティが多くなるほど低くなるため、スコアをより稼ぐにはボンバーをなるべく節約する必要が生じます。つまり、上手な人には楽をさせずにミスを誘う仕掛けを作ることによって、インカム(売上)を稼げるようにしようという狙いが込められているというわけですね!

 さらに本作のスゴイところは、ボンバーのキャパシティを最少の3個の状態に維持しておくと、1面クリア時は10万点、2面は20万点、3面は40万点…とボーナスがどんどんアップし、2周目以降は1ステージをクリアするたびになんと500万点(!)もの特大ボーナスが加算されること。けっして簡単ではありませんが、敵の猛攻撃を見事かいくぐって高得点のキャパシティボーナスをゲットしたときの感動はひとしおです。


「首領蜂」はボンバーのキャパシティが少ないほど高得点ボーナスがもらえるので、より得点を稼ぐためには極力ボンバーの使用を抑える必要があります

※PS版を使用
(C)ATLUS/CAVE (C)1996 S.P.S

 また、先ほども取り上げた「コズモ・ギャング・ザ・パズル」では、ときどき出現するお助けアイテムのスター(※縦7列分にいるコズモを全滅させる効果があります)を使わずにキャンセルすると、ボーナスとして10万点が入るというユニークな技が隠されています。これもやはり、「上級者には楽にプレイさせない」ことの見返りとして得点を与えるという一例ですね。スターを使った場合とそうでないときの両方を収録したムービーをご用意しましたので、ぜひその違いをご覧になってみてください。

 ちなみに、このようなアイテムキャンセルによる特別ボーナスのアイデアは、同じくナムコ作品の「エメラルディア」や「ティンクルピット」などにも採用されています。

ムービー:「コズモ・ギャング・ザ・パズル」(スター使用・不使用時の比較)
※Wiiバーチャルコンソール版を使用。
(C)1992 2009 NBGI

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/17/news023.jpg 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  2. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  3. /nl/articles/2404/17/news136.jpg もう別人じゃん! miwa、大胆イメチェンで面影ゼロに「まさかのこんな色になってるとは」「だれー!?」
  4. /nl/articles/2404/17/news111.jpg 「ぶち抜きたいです」 辻希美、懇願拒否された13歳長男が“荒くれ反抗”……息子の室内破壊に嫌悪あらわ「言葉が出ない」
  5. /nl/articles/2404/16/news185.jpg 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  6. /nl/articles/2404/17/news029.jpg 「キュウリが冷凍できるとは76年も生きて来て知らんかったなあ」 野菜ソムリエプロが教える冷凍&活用アイデアが328万再生
  7. /nl/articles/2404/17/news117.jpg 「虎に翼」、壮絶過去演じた16歳俳優に注目の声「違国日記の子か!」 「ブラッシュアップライフ」にも出演
  8. /nl/articles/2404/17/news025.jpg 築36年物件の暗くてボロいトイレをリメイク→ぐーんと垢抜け! 驚きのビフォアフに「すごいですね!」「天才」の声
  9. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  10. /nl/articles/2211/26/news054.jpg 辻希美&杉浦太陽、15歳迎えた長女のレアな“顔出しショット”でお祝い 最近は「恋バナ」で盛り上がることも
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」