ゲイムマンもたまにはガジェットっぽい話をしないと。「クイックス」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)

» 2011年07月29日 10時53分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
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ゲームボーイ版は初心者にもおすすめ

 さて、このたびニンテンドー3DSで配信されたゲームボーイ版「クイックス」について。これまで「クイックス」が難しい難しいと書いてきたが、初めて家庭用ゲーム機に移植されたこのゲームボーイ版では、かなり難易度が下がっている。

 発売がアーケード版の登場より9年も後の1990年、しかもじっくり遊べる家庭用ゲーム機版だから、最初からあまり難しくするのは避けたのだろう。

 また、最初期のゲームボーイは画面が小さく、後のゲームボーイポケット・ライト・カラーに比べて液晶が見づらかった。これも難易度を下げた原因の1つかもしれない(例えば「スーパーマリオランド」も、ファミコンの「スーパーマリオブラザーズ」より難易度が低く、クリアしやすくなっている)。

 というわけでゲームボーイ版「クイックス」は、今まで「クイックス」をプレイしたことのない人にも安心しておすすめできる。バーチャルコンソール版の方には、まだわたしは触れていないけど、多分難易度も忠実に再現されていると思う。

 最初の4ステージでは何しろクイックスの動きが遅いので、じっくり観察すると、動く方向と速さが変わるタイミングを見極めることが可能。スパークも遅くてなかなか来ないため、しばらくはクイックスの動きに集中できる。

 そうなると、できるだけ大きな面積を囲んでクリアしようという欲が生じてくる。実は99%でクリアすると、スペシャルボーナスが50000点も入るのだ。まあ99%は無理でも、90%台後半を狙ってクイックスをギリギリまで追い込みたくなる。そして案の定クイックスに接触し、「欲張らなきゃよかったー!」としょっちゅう嘆いていたのは、わたしだけではないと思う。多分。

ゲームボーイ版では、クイックスの動きを見切って、かなり大胆に攻めることが可能
99%獲得でスペシャルボーナスが得られるが、わたしは97%がやっとだった。
スパークの動きが遅いので、マーカーの近くに来る前に、新たなスパークが出現することも多い

 もちろんステージが進むと、難度は高くなってくる。5面〜8面にはクイックスが2体出現。アーケード版では3面からクイックス2体になるが、これが5面からになるというあたりも、難易度の違いを物語っている。さらに9面以降は敵の動きが速くなる上、クリア条件が80%以上になる。スパークが2体補充されたり、引いている途中の線に入り込むようになったりするまでの時間も、面が進むとどんどん短くなる。

 ちなみにこのゲームボーイ版「クイックス」、発売された当時は2人対戦が売りだった。テトリスで対戦モードが成功したため、クイックスにも独自に対戦モードをつけたのだろう。ただし対戦するような相手がいないわたしは、対戦なんて当然やったことがないよ。

もちろんゲームボーイ版でも、クイックスが2体出てくる面では、分断してクリアすることが可能
4面クリアするごとに花火が上がる
ゲームオーバー後に出てくる人物は、マニュアルによるとマリオらしいが、いまいちマリオっぽくない

インベーダーキャップの代替わりを見届けたゲーム

 ところで、過去に当連載で取り上げた、1982年以前のゲームは12本あるが、そのうち7本が、コロコロコミックで連載されていたマンガ「ゲームセンターあらし」に登場している。攻略本やゲーム専門誌のなかった時代、このマンガは新作ゲームの情報や攻略法が載っていた、当時のゲーマーにとって貴重な資料であった。

 「クイックス」も「ゲームセンターあらし」に登場し、主人公・石野あらしと、ライバルたちとの対決に使われた。しかも3回も。しかも対戦相手がすごかった。

 まずは、あらし最大の強敵だったドクロ大帝の娘、プリンセス・コブラ。四次元空間に閉じ込められた父のかたきを討つべく現れた彼女だったが、「クイックス」での対戦中、親譲りの必殺技・超空間ブラックホールが、あらしの必殺技・グレートタイフーンと重なって四次元空間が出現。2人はあらしの仲間たちとともに、四次元空間に巻き込まれてしまう。

 2人は共闘して、三次元と四次元の間に棲む怪獣サラマンダーと「クイックス」で戦うが、敗れてサラマンダーに食べられてしまう。だがサラマンダーの体内でドクロ大帝を発見。無事救出に成功した。

 次にあらしと対戦したのは、第1話から登場するあらしの仲間、大文字さとる。彼は強制的にアメリカへ留学させられそうになるが、父親から「『クイックス』であらしに勝てば留学は取り消しにする」と告げられる。対戦はあらしが終始リードしたが、もう1人の仲間・一平太の機転により、留学の件はいったん取りやめとなる。

 3回目は、あらしを執拗に狙う山嵐大作との対戦。山嵐はこの作品では珍しいダーティーなライバルで、負けそうになったところで、何とあらしにダイナマイトをぶつけてきた。あらし自身は間一髪で避けるが、力の源であるインベーダーキャップが燃えてしまう。

 あらしは、母親が手縫いした新しい帽子をかぶって山嵐と再戦。対戦中、もとのインベーダーキャップの灰を浴びたことで、帽子にインベーダーマークが出現。新たなインベーダーキャップとなった。

対プリンセス・コブラ戦のページで、「クイックス」がどういうゲームか説明されているが……
「クイックス」や「ドンキーコング」を最後に、「ゲームセンターあらし」に実在の新作ゲームが出てくることはほとんどなくなる

 ……と、内容を要約してみたが、「クイックス」というゲーム自体については、3話ともあまり触れられていない。「ゲームセンターあらし」は当初、あらしとライバルたちとのゲーム対決がメインだったが、連載が進むにつれて戦いの舞台が壮大になり、ストーリーにも派手さが増していった反面、ゲームの存在感はだんだん薄くなっていった。前述のサラマンダーとの対決においても、1回めは一応「クイックス」で勝負しているが、2回めにはゲームが登場せず、お互いの必殺技を直接ぶつけあって戦っている。

 もっとも、必殺技が飛び交うSF的な展開の背景として、「クイックス」の無機質な画面はよく合っていた。

なぜか最後は東京ゲームショウの話

 タイトーの開発センターが、神奈川県の海老名市にある。そこで今回は、海老名駅前のショッピングモール「ビナウォーク」に行って写真を撮ってきた(本当は開発センターの写真を撮りたかったが、駅から遠い)。まあ長年、砂防会館のはす向かいにあった、平河町の本社も捨てがたいんだけど。

相模国分寺に建っていた七重の塔の模型が目立つ。これでも十分デカいが、本物はこの3倍の高さがあったらしい
その塔がかつてあった国分寺跡がこちら。奈良時代の大伽藍の跡は、心地よい風が吹く芝生広場になっていた
ビナウォークの中を走るSL型車両「ビナポッポ」。タイトーステーションとマルイの間をのんびり往復する

 先日、今年の東京ゲームショウに出展する企業が発表されたが、タイトーやハドソンのような老舗の大手メーカーの名前がそこにないのは寂しい。まあタイトーは去年から、ハドソンはおととしから既に出展していないのだが、今年はさらに、レベルファイブ、アイレム、ディースリー・パブリッシャー、そして去年「エルシャダイ」で話題となったイグニッション・エンターテイメント・リミテッドが出展していない。

 任天堂が参加してないのは最初からだが、第1回の頃に比べるとゲーム業界でのポジションが飛躍的に高まっているだけに、あらためて考えると奇異な感じもする。

 その一方で、グリーを筆頭に今回初出展の企業も数多い。個人的には「マジック・ザ・ギャザリング」のウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の出展も興味深い。もちろん大手各社の大半は今年も健在だ。

 テレビゲームという概念自体に、大きな変化が起こりつつある中、ゲーム業界のどこがどう変わるのか、そしてどこが変わらないのか、今年のゲームショウから、うかがい知ることができそうだ。ともすれば従来のゲーム業界とは別に、もう1つか2つ新たにゲーム業界ができるんじゃないだろうかと、わたし個人は考えているのだが、……知人でもさすがにこの見解を支持する人はあんまりいない。

 ともかく、歴史の転換点となるかもしれない大事なゲームショウで、わたしの作ったゲームも出展されてしまう。……いいんだろうか?

 7月中に配信される予定なので、ゲームショウの頃には既にプレイアブルなはずで、さらに2作めの情報まである程度出せるかもしれないのだが、……大手さんや周りの出展者さんにご迷惑をおかけしないよう、分をわきまえて細々と展示します。中学校の文化祭並みに。

 「クイックス」と全然関係ない話になってしまったが、モバイル&ソーシャルゲームコーナーあたりのマップを見ると、細かく区切られている様子が「クイックス」っぽく見えなくもない。

1987年に登場した「スーパークイックス」。「タイトーメモリーズ2 上巻」に収録されている
ステージクリアすると、隠れていた絵が出てくる。文字を集めて絵のタイトルを完成させてもクリアできる

 「クイックス」には多くの続編がある。わたしが昔かなりハマった「スーパークイックス」に、アーケードでヒットした「ヴォルフィード」。それからカネコの「ギャルズパニック」と、ギャルズパニックにストーリーモードがついた「シルエット☆ストーリィズ」。ゲームボーイカラーの「クイックスアドベンチャー」。

 クイックスのオリジナルとアレンジ版が入ったSuperLite1500シリーズの「クイックス2000」(サクセス)。ヴォルフィードのオリジナルとアレンジ版が入ったSIMPLE 1500シリーズの「THE 陣取り」(ディースリー・パブリッシャー)。

 これらについてもじっくり書こうと思っていたのだが、既に記事がかなり長くなってしまった。もしまた機会があったら取り上げたい。

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