China Joyに行ってきた、ついでにパイラシーって何だべ?:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その43)(2/3 ページ)
China Joyってなんだ?
China Joy――本当の名前は、「China Digital Entertainment Expo & Conference」です。上海市で毎年行われている中国最大のゲームショーで、中国政府と上海市が主催しており、今年は7月28日〜31日の4日間行われていました。壮大なユーザーショーと言うこともあり、ものすごい盛り上がりでしたよ。ただ、最初の3日間はB to Bのホールもあって(今年新設らしい)、ビジネスをしに来る人もおりました。さすが大きな市場、中国ですな。
ちなみに隣接してCGDC(China Game Developers Conference)もやっており、中国のゲームデベロッパーたちが講演をしたりパネルディスカッションしたりしてたみたいですね。
かなり盛況で、チケットを買うのに1時間以上、チケット持って会場に入るのに1時間以上、しかも炎天下(上海は暑くて35度くらいあった……)で待たされるわけで、こりゃ慣れてない日本人はぐったりだったでしょうね。総入場者数は15万6309人と発表がありました。規模がでかい!
ハニィは土曜までミーティング等で動けず、最終日の31日に取材に行ったんだけど、日曜日はそれほど混雑が激しくなかったようです。木金土はチケット代が50元(700円くらい)で午前9時〜午後5時までやってたんだけど、日曜日はB to Bもないし、チケット代が2倍の100元(1400円くらい)で午後3時に終わっちゃうということもあって、「損!」って感じたんじゃないでしょうか。おかげでゆっくり見れましたよ〜。China Joyを見るだけなら日曜日がおススメ。覚えておいてくださーい。
China Joy 2011はどうだったの?
ハニィは上海(中国自体)が3回目だし、China Joyは初めての取材。下馬評を聞くと「壮大なコスプレのためのコスプレショーとカメラ小僧のための写真撮影会」って話だったのね。実際にそういう光景はものすごく見たんだけど(笑)。
ステージではおへそを出した可愛いおねぇさんたちが踊ったり歌ったりして、その前には黒山の人だかり。カメラを抱えた大量のおにぃさんたち!!
でもね、ハニィが思ってたよりもゲームのプレイアブルが多かった。以前のショーを見ていないので、今年からの試みなのかどうかは分からないのだけど。ただ、プレイアブルを遊んでる人よりは、やっぱり写真撮ってる人の方が多かったかな……。
China Joyが他のゲームショーと違うところは、決して「新作を発表する場」ではないということ。もちろん、そういう紹介がないわけではないけど、どちらかと言えば今現在市場にあるタイトルをさらにプロモーションするためのショーであって、「お披露目」的な要素は少ないのです。
コンソールがまったく発表されていないとは言わないけど、この国はコンソールに比べれば圧倒的にPCでゲームを遊ぶ国なので、展示されているゲームは9割以上がPC向けと言っても過言ではないんです。あ、もちろんモバイル(スマホ含む)はかなり力を入れてやっており、中国の電話通信キャリアが大きなステージをやってたりもしましたね。
ショーと並列に「コスプレ大会」もやってましたが、中国のお姉さんやお兄さんはスタイルが良くて、ステキでしたよ。コスプレーヤーさんたちも写真を撮り合ってました。ステージでお金をもらってコスチュームを着ている方々と、趣味で着ている方々の区別があまりつかなかったね(笑)。お見事でしたっ!
China Joyに見る中国市場動向とその難しさ
中国ゲーム市場は、PCがメインで、MMO、ソーシャル、カジュアルなど、単価が低い(基本無料のアイテム課金またはマイクロトランザクションモデル)ものの、遊んでる数がハンパじゃないため、2010年にはオンラインゲーム市場のみで48億ドル(Niko Partners調べ)と言われて、これは2010年における日本の家庭用ゲームソフトの市場を3180億円(エンターブレイン発表)に匹敵する規模なんだよね〜。
ちょうど日本のMobage(DeNA)が中国進出というニュースやGreeが中国最大のコンテンツプロバイダーTencentと提携などの情報があったので、日本人もかなり注目してたんではないでしょうか? 誰かいるかなと周囲を見渡してみましたが、欧米のカンファレンスと違ってたくさんの中国人の中から日本人を見分けるのは難しく、E3のように知り合いに会うってことはあんまりありませんでした。白人割合が少ないところは昨今の東京ゲームショウに匹敵するかも。ま、ユーザーショーの印象が強いから当たり前っちゃ当たり前か。
しかし、触れておかないといけないのは、中国は国策として外資のパブリッシャーが簡単にパブリッシュができる、つまりマーケット参入ができる市場ではないこと。
もちろん、China Joyへの出展は申し込んでお金さえ払えばできるんです。ただ、実際にマーケットに参入するのは至難の業。これは日本のパブリッシャーが欧米市場でなかなかうまくいかないって話とは違うんだよね。文化的なものとかローカライズの問題とかではなくて、中国の国策ということです。
中国で出版、パブリッシュできるのは現地企業というのが原則なんです。現地企業にライセンスして販売してもらうというやり方なんですけど、著作権が主張できるかどうかはちょっと前までは難しいと言われていたのは事実。従って、ホントの意味での「ライセンス」ではなくて「譲渡」を覚悟して展開をしなきゃならなかったのです。
ただ、前述しましたけど、DeNAやGreeも中国にパートナーを見つけて市場を広げようとしている様子は見られるので、ゆめゆめ「自分でやるんだ!」などと無茶なことを言わず、それらの日本のプラットフォーマーに乗っかるか、または現地で信頼できるパートナーと組まれることをおススメします。
市場規模を考えると無視できないマーケットであることは間違いないんですが、今までたくさんの企業が痛い目にあってるのも事実ですから、用意周到に慎重に進められるべし。
ハニィは過去に中国ビジネスをしようとして(いや、上司にしろと言われて)、逃げたこともあるくらい、中国市場は奥が深くて手を出せないというイメージです。ただ、そんなことも言ってられないくらい市場が大きくなってることと、日本の市場だけでは日本のゲーム産業の食いぶちが限られていることを考えると、進出先としては要検討なのかもしれませんね。
本題のパイラシー。パイラシーってなんだ?
英語で書くと「Piracy」。Pirates(パイレーツ)が海賊って意味だから、導き出すと「海賊行為」(笑)。海賊行為って……。実際にはゲーム業界で使われる場合「著作権侵害」って意味になるけど、昔から著作権侵害したソフトウェアを「海賊版」と表現するのを思い出してください。
映画、アニメや音楽、ゲームを含むエンターテインメントは、長い間この著作権侵害と闘ってきたわけだけど、ソフトウェアがソフトウェアである限り違法コピーとの闘いは続くもの。
ハードウェアやグッズと違って、ソフトウェアは物質そのもの(多くの場合ROMなどの媒体)よりもその中身が価値(Value)であることが多いため、中身をコピーされてしまっては、それを作り上げた開発費や人件費は回収できないことになってしまうんですな。
ユーザーにとっては「タダで遊べる」というメリットがあるかもしれないけど、作り手にとっては「血と汗の結晶が意図せず無償奉仕となる」という痛手でしかありません。
中国をはじめアジアでコンソールが出回らないのも、このパイラシーが大きな影響を与えているのは間違いありません。任天堂のマジコン(R4)問題や、PSPのソフトがハード普及率に比べて欧米で売れないってのもひとことで言ってしまうと、この「パイラシー」が原因にあります。
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