「ウォーゲームって何ですか」とのたまう新人に太平洋戦争を“体感”させてやる!君は山本五十六の苦悩を感じることができるか?(4/4 ページ)

» 2011年12月26日 14時23分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

先輩女子は太平洋戦争で大事なことを理解した

 ベテランのウォーゲーマーさんには、ヘックスも戦闘結果表もない。ターンもウォーゲームで一般的な「1日や1カ月といった一定時間でないVictory in the Pacificは、「ゲームとしては面白いが、シミュレーション性は低い」といわれるように、(特に日本では)ウォーゲームとしての評価は低い。さらに、太平洋戦争の重要な要素である「補給」がルールとして導入されていないことも、「このゲームはウォーゲームでない」といわれる理由とされてきた。

 しかし、日本が太平洋戦争で敗北するそもそもの理由は、圧倒的な国力(=兵力)の違いが最も大きな要因だ。ミッドウェーで勝っていても、補給がうまくいったとしても、レーダーが開発されていようと、米軍の圧倒的な戦力に日本軍が蹂躙されてしまうことをVictory in the Pacificで“体感”することになる。

 さらに、太平洋戦争における作戦の大原則である、「制空権確保における基地航空隊の重要性」「海上戦力の衝突における洋上航空勢力の優位性」は忠実に再現している。Victory in the Pacificにおいて、洋上航空兵力を持たない海上戦力は、洋上兵力を有する側を絶対に排除できない。

 この圧倒的な戦力差と洋上航空兵力の優位性を再現していることで、当時の戦争指導者(主に軍令系)たちが直面した戦略的な問題と恐怖(連合軍側は開戦当初における日本軍の怒涛の攻勢を受け止める恐怖。日本軍側は戦争末期における圧倒的な戦力差で戦争を継続する恐怖)を体感できる。その意味で、Victory in the Pacificのシミュレーション性はすこぶる高い。

 そのことを裏付けるように、連合軍を率いた先輩女子は、Victory in the Pacificで一番強力なコマに「空母」を挙げ、「陸軍をどう使うのかが難しいのよね」と航空隊を展開するために必要な基地を占領する陸軍の運用に悩んだと語った。開戦前に「えー、なんで船に“エンタープライズ”なんて名前をつけたんですか。なんか企業が関係しているんですか?」といっていたウォーゲーム初体験の女性が、太平洋戦争における空母の影響力と基地航空隊の重要性、そして、そのために必要な陸軍の役割を理解してしまうところに、Victory in the Pacificの優れたゲームデザインを知ることができる。

 願わくば、“五十六さんの映画”を見て太平洋戦争で“何が起きた”のかを知った多くの日本人にも、このウォーゲームで山本五十六の苦悩を体感してもらえれば、と思う。

この企画を立案した当初は、ゲームジャーナルの「真珠湾強襲」で新人くんを“教育してやる”予定だった。初心者を想定した簡単なルールで短時間で終わる太平洋戦争全般を扱う最新のウォーゲームで、入手も容易だ。それでも、まったくウォーゲームを体験していない初心者には、“エリアの多さ”と“カードを使った作戦立案”の概念が「難しいゲーム」と感じさせたようだ

関連キーワード

ゲーム | 戦争 | 航空機 | 新人 | 映画


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」