第16回:ゲームは見た目がすべて!? ひと目でプレイヤーを虜にするデモ画面の工夫なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/6 ページ)

» 2012年02月10日 17時45分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

 この問題を見事に解決したのが、同じくナムコが1980年に発売したアクションゲームの「パックマン」、および1981年に登場した「ギャラクシアン」の流れをくむシューティングゲームの「ギャラガ」です。以下の動画をご覧になれば明らかなように、本編のデモとは別に基本ルールを教えるためのデモシーンをわざわざ用意することによって、ただキャラクターのリストを表示するよりも得点の法則がずっと覚えやすくなっています。特に「ギャラガ」においては、ボス敵(ボスギャラガ)を撃つ場面だけをフォーカスしたデモのおかげで、「ギャラクシアン」よりも編隊飛行の形態によって得点が変わることが初見の人にも伝わりやすくなっています。

※PS版「ナムコミュージアムVOL.1」を使用。
(C)1995 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.

※PS版「ナムコミュージアムVOL.1」を使用。
(C)1995 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.

 このように、得点が入る場面をフォーカスしたデモを取り入れた例は他のメーカーが同時期に発売した作品でも多く見られます。

 一例を示すと、1982年にユニバーサルが発売したアクションゲームの「Mr.Do!」。本作においても、得点の入る条件を説明する専用のデモ画面を導入したことによって独特のゲームシステムを大いにアピールしているのです。さらに実際のステージを使用したデモ画面をよく見ると、チェリーを8個連続で取ったときには500点のボーナスが加算されたり、画面中央に出現するショートケーキを取ると同じく1000点が入ることも分かるように見事に計算されて作られています。

※Wiiバーチャルコンソール版を使用。
(C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT

 前回のコラムでも書きましたが、昔のゲームの画面に表示される文字はもっぱら英文(アルファベット)で、国産のゲームでも日本語が一切出てこないことはごく当たり前でした。これでは英語を習ったことがない子どもにとって、メッセージが表示されてもそれがいったい何を意味しているのかが全然理解できません。ですから、後年コンピュータの性能が向上したことなどによって、日本語の表示が導入されるようになっただけでもたいへん画期的なことでした。日本語の表示が増えるにつれて、当然ながらデモ画面の説明もより分かりやすいものになりました。インストカード(※)と同様に画面内にも日本語でルール説明が表示されるようになれば、ユーザーがよりゲーム内容を理解しやすくなるのは至極当然ですよね。

※インストカード:ゲームの筐体に貼ってある遊び方やプレイ料金などが書かれた紙のこと。

 日本語の表示を交えたデモ画面の中でも、発売当時に筆者が特に感銘を受けたのはタイトーが1986年に発売したアクションゲームの「バブルボブル」。実は筆者、本作を(他の人がプレイしているところを)初めて見たときはゲームのルールがまったく理解できなかったのですが、デモ画面を見たらアニメーションと同時に分かりやすい日本語の説明文が表示されたおかげで、「あ、こうやって遊べばいいのか!」とすぐに理解することができました。

※プレイステーション2版「タイトーメモリーズ上巻」 を使用
(C)TAITO CORP. 1979-2005

 またも繰り返しになりますが、アーケードゲームでは見た目のグラフィックスの美しさやカッコよさだけでなく、ゲームのルールも同時に理解させていかに面白いと思わせるかが非常に重要なポイント。プレイヤーは貴重なお小遣いを使ってゲームを遊ぶわけですから、デモ画面を上手に活用して「面白そうだ!」という一種の信用をユーザーから得られない限り、そうやすやすと投資をしてはもえらないのです……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」