SIMロックなんて要らない?――海外旅行ついでにSIMフリーiPhone4Sを買うすすめ旅するガジェット(3/3 ページ)

» 2012年04月11日 10時01分 公開
[吉田友和,ITmedia]
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 以上でSIMフリーiPhone4Sがネットに繋がった。こうして文章にしてみると、なんだか面倒そうに感じるかもしれないが、実際には別に難しくはない。でも、そうまでしてなんでわざわざSIMフリー版を使用するのか。それだけ恩恵が大きいからである。

 主に2つのメリットがある。まず、通信料金が大幅に安く済む。ソフトバンクやauでもすでに海外パケット定額サービスが始まっているが、これが決して安いとは言えない状況なのだ。サービス開始時はキャンペーンで比較的お得だったが、現在では二段階制料金となり、実質値上げとの声も聞く。ソフトバンクの「海外パケットし放題」だと、1日あたりの上限は25MBまで1980円、25MBを超えると従量課金で上限は2980円。auの「海外ダブル定額」も似たようなもので、20万パケット(25.6MB)まで1980円で、上限は2980円。日本のiPhoneを持っていって海外ローミングで使う際の費用である。

 使い方にもよるが、地図を常時表示させ、メールやウェブを見たり、写真をツイッター等にアップしたりしていると、あっという間に25MBは超えてしまう。気兼ねなく使うには、上限である1日2980円は率直に言ってかかると思う。仮に4日間滞在すれば1万円を、1週間なら2万円を超えてしまう。気軽に利用できるレベルではない。

 対してプリペイドSIMを使用するとなると、コストをグッと抑えられる。タイは物価が安いせいもあるだろうが、例えばもっと物価が高いシンガポールでも1日あたり500円もしない。コストパフォーマンスは最早比較にならないレベルなのだ。海外へ出かける機会が多い人なら、iPhoneは日本で購入するのではなく、SIMフリー版を入手する価値はある。

 SIMフリーiPhoneのもう1つのメリットとしては、日本版では悲しいことに封印されている機能が使える点だ。そう、テザリングである。iPhoneをモバイルルーター化して、Wi-Fi対応機器をネットに接続できるのだ。3GSまではUSB接続やBluetooth接続のみだったが、4/4SでWi-Fiテザリングが可能になっている。ノートPCやiPad、さらには携帯ゲーム機など、ネットワークに接続したいガジェット類が増え続けて久しい。iPhoneが1台あれば、それらガジェット類でネットワークを共有できてしまうのは大きな利便性がある。

 近頃はWi-Fiが無料のホテルも増えてはいるが、仮に有料だったとしても、iPhoneの回線を使ってPCなどをネットに繋げられるのは、仕事の旅でも非常に重宝する。個人的には「神機能」と呼びたいほどだ。

画像画像 設定に日本版では表示されない「インターネット共有」が現れる。Wi-Fi機器を接続すると、ホーム画面上部に接続中のアナウンスも表示される

画像 iPad2からWi-Fiテザリング中のiPhone4Sに接続したところ。SSIDは「iPhone」で、接続アイコンが通常のWi-Fiのものとは異なる

 他にも細かいところで違いがある。iPhoneをマナーモードに設定すると、カメラのシャッター音がなくなる点もSIMフリー版ならではだろうか。日本でソフトバンクのSIMを挿して使う場合には、端末がSIMフリー機であってもiPhoneのテザリング機能は塞がれてしまうのだが、無音シャッター機能は生きているようだ。悪用厳禁ではあるが、事実なので触れておく。なお日本国内でSIMフリーiPhoneのWi-Fiテザリング機能を使いたい場合は、ドコモや日本通信と契約すれば良い。

 携帯にSIMロックなんて要らない――。もう何年も前からずっと感じてきたことだが、とりわけiPhoneに関してはその思いがさらに強くなる。販売戦略上仕方ないのかもしれないけれど、旅人目線で見るとiPhoneはSIMフリーで使ってこそ真価を発揮する。あと、これはiPhoneに限らないが、誤解がないよう最後に書いておくと、ガジェットはツールであって目的ではないと思っている。本記事は割と細かな設定などの話に終始してはいるが、SIMフリーiPhoneをはじめとするガジェット類に対する僕の基本スタンスは、旅をどう発展させられるかに尽きる。スマホマニアでも、SIMマニアでもない、一旅人の視点から気ままにつづらせてもらった。

吉田友和(よしだともかず)

旅行作家。1976年生まれ。これまでに70ヶ国以上を訪問し、現在もほぼ毎月海外へ出かけている。雑誌等への寄稿および記事監修のほか、編集者として旅行ガイドの制作なども手がける。IT系の某雑誌編集部に在籍していたこともあり、ガジェットやネットとは付き合いが長い。

旅行作家★吉田友和 Official Web


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