第20回:プレイヤー同士でいざ勝負! 対戦プレイはなぜ面白いのか?なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/4 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の20回目は、相手と戦うことで初めて起きる“ゲームを続けたくなる”仕組みについて。

» 2012年05月25日 16時52分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]

 人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回は前回の同時・協力プレイに続き、2人以上のプレイヤーが勝敗を競って楽しむ対戦プレイをテーマにしてお送りします。

 コンピューターの操る敵ではなく、プレイヤー同士で対決するとまた違った面白さが堪能できるのもビデオゲームならではの大きな醍醐味。では、対戦モードの存在によってゲーム楽しくなる仕組みとは具体的にいったい何なのか、ビデオゲーム発展の歴史と合わせて考えていくことにしましょう。今回もどうぞヨロシク!

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」バックナンバー


人 vs 人で対戦できれば遊び方が無限大に広がる!

 対戦ゲームの歴史における大きなターニングポイントとなったのは、今から21年前の1991年になるでしょう。この年に登場して全国各地のゲームセンターで空前の大ヒットとなったのが、20代後半以上の人には懐かしいカプコンの対戦格闘ゲームである「ストII」こと「ストリートファイターII」です。当時からゲームセンターをよく利用していた人であれば、連日多くのプレイヤーが設置店舗に集まり、熱気であふれていた光景をきっとご記憶のことでしょう。

画像画像 多くの人々に対戦プレイの面白さを知らしめたのが「ストリートファイターII」でした
※PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用
(C)CAOCOM CO., LTD. 2005,2006,
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 もっとも、「ストII」までの間の時代に対戦ゲームがまったく存在しなかったわけではありません。では、「ストII」以前の1980年代には主にどんなものがあったかと言いますと、アーケードでも家庭用でも野球、サッカー、テニスなど球技系のスポーツものが対戦ゲームの定番だったというのが筆者の印象です。任天堂のファミリーコンピュータ用ソフトとして発売された、その名もズバリの「ベースボール」や「サッカー」、あるいはナムコ(現:バンダイナムコゲームス)の大ヒット作である「ファミスタ」こと「プロ野球ファミリースタジアム」シリーズは、いずれも2人で対戦ができるゲームモードがありました。

画像画像

画像画像 初期の対戦可能なビデオゲームの定番は、やはりスポーツものだったのではないでしょうか?(※写真は「ベースボール」と「サッカー」)
※いずれもファミリーコンピュータ版を使用
(C)1983 Nintendo
(C)1985 Nintendo

画像画像 「ファミスタ」シリーズは選手の打率や防御率などのデータが「飾り」ではなく、実際に能力としてプログラミングされているのが当時としては斬新でした
(C)1986 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

 では、これらの作品はなぜ対戦モードを取り入れたのでしょうか? その答えはやはり、対戦プレイを取り入れることによって、毎回同じようなパターンで動くCPUの敵キャラクターと戦い続ける単調さが解消され、遊びの幅が大きく広がるからです。またスポーツゲームの場合は、画面を見れば誰でも元ネタとなったスポーツがすぐに分かる、すなわちその競技のルールをある程度知っていれば自然と遊び方もだいたい想像できるのでゲームの初心者でもとっつきやすくなります。

 プレイヤー同士で対戦(あるいは同時プレイ)させることによって、順番待ちをする他のプレイヤーの待ち時間を短縮することができるのも大きなメリットです。今でこそ同時に数百人でも数千人でも同時に参加できるオンラインゲームが当たり前のように存在しますが、初期のアーケードゲーム筐体は2人分のコンパネ(操作デバイス)が、家庭用ゲーム機には2個のコントローラーが最初からついていることが非常に多かったため、2人対戦プレイモードを用意するだけでそのゲームはフル稼働状態になるわけです(当たり前ですが……)。特に1980年代の半ば頃からゲームにハマリ出したファミコン世代の方であれば、自分の部屋や友人の家に大人数で上がり込み、みんなで交代しながら遊んでいるときの「待ち時間」がどれだけ長く感じたのか、容易に想像がつくことでしょう。

 さらにお店側の視点から見れば、プレイヤーすなわち客の回転が早くなればその分インカム(売上)が増えることにもつながります。1台(あるいはワンセット)の筐体で2人が同時に遊んでくれれば、単純計算で同じ稼働時間でもインカムが2倍になりますから、経営サイドとしてはこれほどありがたい話はありません(ゲームセンター店長経験者談!)。

 また、「ストII」シリーズでは見た目も性能もまったく異なる8人の格闘家が選べることで、さらに「ファミスタ」シリーズでは各選手の能力が異なるだけでなく実在の選手(※)が登場することによって、そのキャラクターになりきって戦うことができる「なりきり感」が得られるのも大ヒットの要因となったことは論を待たないでしょう。

 この「なりきり感」については今回のテーマとは異なるので詳しくは触れませんが、なぜ人がゲームにハマルのかを語るうえでの重要なキーワードであることは間違いありませんので、この機会にぜひご記憶にとどめておいてください。

※筆者注:初期の「ファミスタ」シリーズのチームおよび選手名は架空のものでした。実名になるのは(ファミコン版では)「ファミスタ'93」からです。
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/17/news022.jpg 【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
  2. /nl/articles/2403/18/news022.jpg 1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
  3. /nl/articles/2403/17/news063.jpg 「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
  4. /nl/articles/2403/17/news047.jpg 北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
  5. /nl/articles/2403/18/news042.jpg 生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
  6. /nl/articles/2403/15/news126.jpg 「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
  7. /nl/articles/2312/29/news019.jpg 「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
  8. /nl/articles/2403/18/news025.jpg “おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
  9. /nl/articles/2403/18/news056.jpg 大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
  10. /nl/articles/2403/18/news064.jpg 赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  2. 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
  3. 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
  4. 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
  5. 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
  6. 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
  7. 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
  8. 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
  9. 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
  10. 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」