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» 2012年06月27日 17時41分 UPDATE

E3 2012総括(後編):時を少し巻き戻して――今年のE3を復習して今後のゲーム市場を考える

6月上旬に北米カリフォルニア州ロサンゼルスにて行われたE3の概要とプラットフォーマーの総括をした。後編ではソニー、任天堂のカンファレンスと、E3 2012全体のまとめをしてみた。

[記野直子,ITmedia]

 前編に引き続き、後編ではプラットフォーマーのカンファレンスの続き「ソニー」の模様からお伝えする。

ソニー

 ソニー・コンピュータエンタテインメントアメリカ(SCEA)は、Expo開幕前日の6月4日午後6時〜ロサンゼルス市内のLos Angeles Memorial Sports Arenaで「PlayStation E3 2012 Press Conference」を開催した。SCEA社長のJack Tretton氏を中心に新規タイトルやPlayStaion ブランドが提供する新しいサービスなどをプレゼンした。

 コードネーム「Orbis」と称されるPS3の後継機が発表やGaikaiとの提携でサーバからのストリーミングでゲーム? などなど噂はあったが、いずれも今回は外れていた。特に後者はGaikaiとLG電子のスマートテレビ向けの提携の発表があったので、ガセネタであったようだ。

 ソニーの今年のカンファレンスを(1)PS3/PSVita:新規タイトルの発表(2)クロスプラットフォーム戦略(3)PlayStationブランドの新規サービス、機能強化でまとめてみよう。

(1)PS3/PSVita:新規タイトルの発表とクロスプラットフォーム戦略

  • PS3

 「Beyond: Two Souls.」のトレイラーから始まったタイトル発表のラッシュだが、これは「Heavy Rain」の続編的作品。女優Ellen Pageを使った圧倒的なムービーシーンはビッグタイトルとしての威厳を感じるものであった。また、「PlayStation All-Stars Battle Royale」は、SCEのタイトルで活躍するキャラクターが闘うSCE版Smash Bros.とも言える。PS3のみならずPS Vita版も発売予定で、互換性があるタイトルとなる。2013年3月には「God of War: Ascension」も発売される。

 カンファレンス最後のトレーラーは、「あれ? Unchartedかな?」と思って見ていたら、「明らかに違うし、何だかすごいぞ!」感を漂わせる短いトレーラーの後「The Last of US」のタイトルロゴが出現。会場では歓声があがっていた

 サードパーティからはUbisoftの「Assassin's Creed III」、「Far Cry 3」のデモプレイがあった。

  • PS Vita

 PS3でも発売される「PlayStation All-Stars Battle Royale」に加え、Activisionから「Call of Duty:Black Ops Declassfied」、Ubisoftの「Assassin's Creed III Liberation」の発表があった。

 PS Vitaのゲームアーカイブに「PS one Classic」が投入されることになったとの発表もあった。この夏から、PS Vita で初代PlayStationのタイトル群をダウンロードできるようになるという。また、「Hulu」、「Amazon Instant Video」、さらにはESPNを含むスポーツ番組などの配信を行うとの発表があった。具体的な内容はこれからだ。

(2)クロスプラットフォーム戦略

 既に発表されている記事やSCEのリリースがあるので、すべてをここで語るのはやめておく。PS Vitaをサブモニタ付きコントローラーとして使える「クロスコントローラー」、PS VitaとPS3でCo-opや対戦ができる「クロスプレイ」、セーブデータを共有し、自宅でも外でも続きが遊べる「クロスセーブ」など、PS3/PS Vitaの連携による新しいゲーム体験を実現する「cross platform feature」を加速すると発表した。

 ファーストパーティのみならず、サードパーティのタイトルもこのクロスプラットフォーム戦略に対応したタイトルが続々と発表される予定のようだ。

(3)PlayStationブランドの新規サービス、機能強化

  • PS3の新たなペリフェラル「Wonderbook」

 テレビの前で「Wonderbook」を開き、PS3用カメラPlayStation Eyeと連動させるAR技術を使う。まるで本の中に入り込んだような世界を演出するデバイス。最初の対応ソフトは「ハリー・ポッター」の作者J.K.ローリングとコラボした「Book of Spell」。会場ではデモ映像が流れ、大きな拍手が沸き上がった。2012年末にローンチされる予定であるが、値段については一切触れられなかった。「Wonderbook」の他にタイトルによってはPS Moveが必要になるなど、ハードルが高いペリフェラルのため慎重なのだろうか。

 

  • PlayStation Suite あらため、PlayStation Mobile

 PlayStation Certifiedデバイス(つまり、お墨付きをもらったデバイス)であれば、初代PlayStationタイトルなどをPSN(PSストア)を通じて購入できるというPlayStation Suite。現在Sony Mobileがこのデバイスを目下開発中であるとのこと。また、台湾のHTC Corporation(HTC)に対してもお墨付きを付与したらしく、Androidの対応端末を開発しているとの発表があった。

 また、PlayStation SuiteをPlayStation Mobile「プレイステーション モバイル」に名称変更することもあらためて発表された。今後HTC以外のデバイスメーカーがPlayStation Certifiedを獲得してPlayStationコンテンツが遊べる端末が世に増えてくるのかもしれない。

ソニーまとめ

 PlayStationデバイス間のクロスプラットフォーム戦略に関しては、もっと前からできていたはずではないかと思うと、それほどのサプライズではなかった。

 今回一番目を引いたのは「Wonderbook」である。ソニーがいよいよ家族向けに更に一歩踏み込んできたか! と思った。「ハリー・ポッター」の作者J.K.ローリングとのコラボ、すばらしい。デモを見ても新たな楽しみ方を提供できると期待ができたのだが、いまひとつアピールに欠けるプレゼンだった。

 ペリフェラル(周辺機器)はソフト販売のハードルを上げる。特にサードパーティにとっては大きな壁になることが多い。Moveがそうだったように、ファーストパーティであるソニーが本気度を示さなければ、ペリフェラルは出回らないし、出回らないペリフェラル向けのタイトルは生まれない。SCEはここで思い切って全力を尽くしてほしい。このすばらしいデバイスによりサードパーティを巻き込んで新しい遊び方をどんどん投入して行けるかが今後の分水嶺となりそうだ。

 今回のSCEタイトル群の発表は圧巻であった。大作「Beyond: Two Souls.」と「The Last of US」はゲーマー期待のオリジナル新作であり、SCEのオリジナルIPへの意気込みを感じるものであった。が、昨年紹介された日本製の「The Last Guardian」(日本名:人喰いの大鷲トリコ」)に触れなかったのは違和感があった。続報を待たれし。

任天堂

 Expo初日の6月5日午前中、まさに開催直前にExpo会場であるLACCの向かいNokia シアターで任天堂の「All-Access Presentation @ E3 2012」が行われた。プレゼンテーションは(1)既に発表されているWii Uの開発経緯(2)Wii Uのタイトル発表(3)3DSのタイトル

(1)Wii Uの開発基本概念とサービス内容

 まずは、レジェンド宮本茂氏が登場して、Wiiの発売から6年がたった。その次の年から任天堂では次のハードはどうあるべきかと考えてきたと始め、Wii U開発の基本概念を語った。

 30年以上の間、家庭用のゲーム機がテレビに依存していたこと(誰かがテレビ番組を見ている時にはプレイできない、テレビ自体の電源が入らないとゲームができないなど)から脱することがその答えだったという。「Wii U GamePad」によって自分専用のモニターを手元に持つことができる、つまりテレビからの自立である。これにより、任天堂がチャレンジしてきた携帯ゲーム機との連動(コネクタビリティ)に関してもユニークなゲームデザインが生まれてくる。さらに、手元のサブモニターとしての「Wii U GamePad」によってテレビの使われ方も変わってくるのではないかと紹介した。

 宮本氏はどうしてもこのWii Uでピクミンを作りたかったと語り、「ピクミン3」のゲームプレイを紹介した。

 また、この後に登場したNintendo of America(NOA)のReggie Fils-Aime社長から、リビングにおけるエンターテイメントに改革をもたらすWii U のサービスの中身について、Hulu、Netflix、Netflix、Youtube、Amazon Videoなどとの提携が発表されたが、Wii Uでどのようにユニークなサービスをするかの詳細は後日を待たれたしと語った。

 さらに、Wii U本体には、ファミコンのように2つの「Wii U GamePad」が接続できるとの発表もあり、「Wii U GamePad」の操作仕様を説明した。また、先に任天堂が発表していた「Miiverse」についても言及があった。ブラウザベースでのコミュニケーションツールのようで、Wii U以外PC、タブレットなどからもアクセスが可能とのことだった。ゲーム中でも「Miiverse」のリアルタイムのソーシャルウィンドウが開くという。その例として「New Super Mario Bros. U」の発表も行われた。

(2)Wii U 向けタイトル

 ファーストパーティ、サードパーティを含めて合計23タイトルの発表を行った。ファーストパーティ(任天堂)からは宮本氏自らがプレゼンした「Pikmin 3」、「New Super Mario Bros. U」、「Wii Fit U」、「SiNG」、「Lego City: Undercover」など。

 また、Wii Uの目玉タイトルと見られる「Nintendo Land」はクリエイターである江口勝也氏が自らプレゼンを行った。これは、12のアトラクションを備えたテーマパークという設定で「ゼルダの伝説」、「ルイージマンション」、「ドンキーコング」などをモチーフにしたアトラクション(ゲーム)が準備されているという。ハードのローンチと同時発売とのこと。

  • サードパーティ

 WarnerBros.のゲーム部門社長Martin Tremblay氏から「Batman: Arkham City Armored Edition」、DSで世界で400万本以上売り上げた言葉のパズルゲーム「Scribblenauts Unlimited」のWii Uでの発売が発表された。Electronic Artsからは「Mass Effect 3」がついに任天堂プラットフォームに!これはHD化されたからこそ実現したタイトルと言えるだろう。

 UbisoftのYves Guillemot社長が登場し、たくさんのWii Uタイトルが発表された。「Just Dance 4」、「ZombiU」、「Rabbids Land」、「Sports Connection」、「Your Shape:Fitness Evolved 2013」、「Rayman Legends」、「Assassin's Creed III」などが紹介された。

 この他にも、任天堂の「Project P-100」、バンダイナムコから「TANK! TANK! TANK!」、「TEKKEN TAG TOURNAMENT 2」(同)、コーエーテクモの「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」、THQの「Darksiders II」などがWii U 向けに開発中とのこと。

(3)3DS向けタイトル

 任天堂から3タイトル「Paper Mario Sticker Star」「New Super Mario Bros. 2」「Luigi’s Mansion Dark Moon」が年末までに発売されると発表された。

 サードパーティからは、「Castlevania: Lords of Shadow - Mirror of Fate」(Konami)、「Disney Epic Mickey: Power of Illusion」(Disney Interactive)、「Scribblenauts Unlimited」(WarnerBros.)、「Kingdam Hearts 3D: Dream drop Distance」(SQEX)、などがトレーラーで発表された。

任天堂まとめ

 任天堂らしい笑顔で終始する楽しいプレゼンテーションだったが、Wii Uのサービス機能の詳細が後日に回されたのは残念だった。

 また、当初発表された時よりもWii Uの新しさがいまひとつスムーズに分からなかったのは任天堂らしくない。あの時にハッと言わせたゴルフでの使い方を踏襲したゲームはなかったのだろうか(手裏剣はかろうじてNintendo Landの紹介で見られたが)。従来の任天堂の「ゲーム」志向から、今回のプレゼンで終始語られた「リビングでのエンターテインメント」への飛躍に対する違和感なのだろうか。

 また、今回本当にがっかりしたのは、発売日や価格に対しての発表がなかったことだ。3大ハードメーカーで唯一新ハードを発表している同社が年末に向けて起爆剤となり得るWii Uに関して出し惜しみをしている感じがするのは、何か問題でもあるのか? と勘繰る輩もいるに違いない。年末商戦は実質11月までに発売されることが前提となる(ここが日本とは異なる)ため、更なる詳細が近々に発表されることを切に願う。

カンファレンスまとめ

強いUbisoft

 今回のカンファレンスで勢いを感じたのは、Ubisoft。あらゆるカンファレンスでサードパーティとして強烈なインパクトを与えていた。Wii Uに対する大量タイトル供給はもちろんだが、リスキーな新規IPを避けて大型タイトルの続編に集中する大手パブリッシャーの中で、「Watch dogs」をプッシュするあたりは、既存の大型IPとチャレンジタイトルをうまく組み合わせた理想的なポートフォリオを展開しているパブリッシャーに見える。

 あまり精神論的なことは言いたくないが、「良いモノを作り続けてチャレンジし続ければユーザーはついてくる」ということだろう。海外では、クオリティをキープしてくれると信じられているパブリッシャーやデベロッパーには、ユーザー(特にハードコア)がロイヤリティ(忠誠)を誓っているのもまた真なり、である。Ubisoftの今後が楽しみである。

クロスプラットフォーム

 「クロスプラットフォーム」が花盛りのようだ。ソニーの場合はPlayStationブランドのデバイス間であることから、マイクロソフトのそれと比べると狭義のクロスプラットフォーム戦略と言えよう。ただし、任天堂のWii Uの「Wii U GamePad」をデバイスと考えれば、ソニーはそれよりも広義である。任天堂も「Miiverse」に関してPCやタブレットからアクセスが可能とのことだったので、どこまで任天堂製以外のデバイスからコンテンツに入りこめるのかがポイントかもしれない。

 マイクロソフトがアクセスできる広く浅いプラットフォーム連携しかできない部分が、ソニーや任天堂では更に深いデバイス特性を生かしたコンテンツの提供ができるという意味では優勢である。ただし、「紐付きのデバイスが必要」ということが足かせになる可能性も含む。そう言った意味ではマイクロソフトは裾野を広げた、ソニーと任天堂は自社デバイスユーザーへの強化を図った形と言えよう。

 いずれにしても、ネットワークにすっかりつながったこの時代に「ハードウェア」としてのプラットフォームを語るのは陳腐なことなのかもしれない。そう言った意味では、今回E3に参加したGreeの意味も大きく、今後は「ハードウェア」を基軸に語るのは時代遅れになるのかもしれない。デバイスフリーが目前にあり、サービスプラットフォームが求められる昨今、既存のハードメーカーがすんなり「サービスプラットフォーマー」として移行できるのかが鍵になると確信したカンファレンスであった。

 筆者はこれが難しいと言っている訳ではない。OnLive!のサムソン社との提携やGaikaiのLG電子との提携を見ると、独立系サービスプラットフォーマーがこのインフラの安定しない現在、単独で旗を挙げるのは難しかったことも理解できるからだ。ハードメーカーがうまくランディングさせられれば、業界としてこの過渡期をうまく乗り切ることができるかもしれない。

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