サンライズのアニメーションはこうして作られている:売れるのには理由がある(2/3 ページ)
手紙でキャラデザイン依頼
内容が決まって、さあ、それでは人物キャラクターのデザインを誰にお願いしようかとなったとき、なかなかよい案が出ませんでした。メカものとはいえ、最低限、女の子が嫌うような、汗臭いだけのようなキャラは避けなければならない、ということは分かっていたのですが……。
そんなとき赤坂の書店でCLAMP(クランプ)さんの作品を見て、いいなと。私も、もちろんCLAMPさんという存在、「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」「カードキャプターさくら」など、アニメ化された作品は以前から知っていましたが、改めて見て、今回の作品にぴったりだと思ったんです。それで、監督や他のプロデューサーとの会議にダメもとで提案してみたんですね。
そうしたら、みんな「いいね!」っていってくれたのはよかったんですが、「じゃあ、依頼よろしく!」ということにもなって、それまでCLAMPさんとサンライズはまったく接点がなかったし、私だって面識もなかったんですが……当たり前のようにいわれてしまいまして、どうやって依頼すればよいか非常に悩みました。
後から、「よくCLAMPさんに頼めたね」といわれたのですが、やはり私もCLAMPさん原作のアニメ化ならともかく、「まさかキャラデザインなんて頼めないだろう……」と思っていたので、本当にダメもとだったんです。
それで、かれこれ1カ月近く悩み続けていたある日、偶然にも弊社に「CLAMPさんとお知り合いの方が、打ち合わせに来ている」という情報が入りまして、さっそく会って事情を話したところ、「手紙くらいだったらお渡しできますよ」とおっしゃっていただいて。「手紙の書き方」本を見ながら、必死で手紙を書きました。
それで快諾していただけたのですが、電子メールがある時代ですから、CLAMPさんは「手紙で仕事の依頼を受けたのは初めてです」とおっしゃっていましたね(笑)。
富野監督の異種格闘技的人選
―― 話題性もさることながら、CLAMPさんの絵柄とロボットが、意外と合うなと思いながら、当時テレビ放送を観ていたのですが。
河口氏 人選に当たっては、いわゆる熱血的な絵柄ではないものを、というのはもちろんありましたが、私が気をつけていることに、異文化交流的な要素を入れるということがあります。
これは「ブレンパワード」の制作に参加していて、当時、富野由悠季(とみの よしゆき)監督と同席していたときのエピソードなのですが、某社のトップの方が、「ブレンパワード」のスタッフを見て「富野監督、いのまたむつみさん、永野護さんの組み合わせがすごくいい」とおっしゃったんですね。
そのときの私はその真意がまだ分からなかったのですが、これが富野監督の意図する、強い個性同士の異種格闘技的人選なんです。普通は個性が強い者同士を合わせてしまったら、どうなってしまうか分からないから避けると思います。
しかし、あえて個性が強い者同士を合わせる、チャレンジしてみることでそこから新たなものが生まれる、そういったことを富野監督には教えていただきました。
まあ、もちろんうまくいかないこともあります。富野さん監督で子供向けアニメをやろうとしたことがあったのですが、皆が個性が強くて、企画が瓦解してしまったこともあります。富野さんは非常にチャレンジすることを重視されるので、子供向けアニメにも前向きだっただけに残念なことでした。
私も未熟で、制作の知識はともかく、営業の知識もなく、ただただ「内容がおもしろければいいだろ!」と、突っ走っていたところがありました。会社の正式な企画の手続きもとばしていたので、ちゃんと手順を踏んで各方面の調整をしながら進行しなければいけなかったと反省しています。
コンスタントにヒットを生む秘訣
―― テレビ版「コードギアス 反逆のルルーシュ」から、「コードギアス 亡国のアキト」制作開始までの流れはどういったものだったのでしょうか? 普通に考えると、テレビ版の総集編や、同じキャラが登場する前段の物語、後日談などが無難で手堅い企画だと思うのですが。
河口氏 私が企画のときに考えることは、「世間を『あっ』といわせる」ことができるか? ということです。昔読んだインタビュー記事、確かノートパソコン「VAIO」の開発者インタビューだったと思います。それで非常に感銘を受けた言葉なのですが、ジャンルは違えどもアニメーションもまったく同じだと思います。
例えば、安易な続編ものを続けていれば、最初の何作かは楽しんで観てもらえるかもしれませんが、じきに先が読まれる(予想できる)ようになってしまいます。そんなものは誰も「あっ」と驚かないし、いわゆるマンネリのものは誰も観たくないと思うんですね。「いったい何をやるんだ、こいつら?」ぐらいに思ってもらえる作品でないと。
だからあえて劇場版「コードギアス 亡国のアキト」はスタッフも登場人物も変えて、作品の世界を広げることにしたんです。そうすることで、テレビ版を観ていない方にも楽しんでいただけて、テレビ版を観た方にはその世界を継承した作品として楽しんでいただけるという効果もあります。
劇場上映で連作という企画は、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」がすでにありましたから、そのおかげで「コードギアス 亡国のアキト」の企画がやりやすかったということもあります。
一連の「ガンダム」関連作品が「ガンダム」の名を冠しながらも、ただの続編に終始していない、ファーストガンダムの文法を使って作品展開している、いわばアニメ「機動戦士ガンダム」を原作としながらもオリジナル作品になっているというのも、いつも「あっ」と驚いてもらえ、コンスタントにヒット作が生まれるようにという仕掛けになっていると思います。
また、弊社にはオリジナル作品が好きで得意で企画力のある、人のふんどしで相撲をとるのがイヤというプロデューサーがいる。そういう想いで作品の制作を続けていると、やっぱりオリジナル作品が得意な監督さんであるとか脚本家さんであるとか、力を結集しやすい土壌ができるのは強みです。
ただあまり、オリジナル、オリジナルと言っていると「サンライズは、原作ものはダメなのか?」と思われてしまうかもしれません。でも、オリジナル作品で腕だめしできるので、原作もので無茶をやって、世界観が台無し、原作ファンの期待を裏切るといったことがないという利点があります。ですから、原作ものを預けていただくのも歓迎です。ちょっと逆説的ですが(笑)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
-
9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
-
大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
-
「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
-
「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
-
「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
-
「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」