映画「リアル・スティール」もリアルだったが、日本のリアル「リアル・スティール」はもっとリアルだった!!:戦うロボット(3/4 ページ)
キングカイザー制作者、丸氏にインタビューを敢行!!
さて「このキングカイザーを作った丸さんっていったいどんな人なんだろう?」っと思うのは、読者諸兄姉だけではありません。興味津々となった筆者も、キングカイザーも出場経験のあるロボットプロレス「できんのか!」の影の支配者(プロデューサー?)、ミステル・タマオ総統を介してインタビューを申し込みました。「リアル・スティール」と丸さんとご家族、そしてキングカイザー制作秘話をうかがいましたので、ぜひご覧ください。
―― 映画「リアル・スティール」を観て感動されたとのことですが、どのあたりに共感されたのでしょうか?
丸氏 皆さん普通に観て楽しい映画だと思うのですが、それに加えて、我々家族には非常に重なる部分が多くて感情移入できたんです。例えば、父親と息子がロボットバトルの試合をするために全国を転戦するところ、ロボットが人間の動きをトレースする機能で闘っているところ、ファイトマネーを次の新型ロボットの資金にしているところ、地方試合や小さな大会で腕を磨いて大きな闘いに挑んでいくところ、父親がロボットを作り上げ息子がプログラミングをするところ、息子のアイディアで新攻撃技を生み出すところ、ロボットを通して親子のコミュニケーションをしているところなどなどです。
私は離婚もしていませんし、家族との関係は比較的良好だと思っていますが、それ以外の主人公が息子との会話の中でモチベーションを高めて闘いに挑んでいくところなど、実体験を思い出してジーンときてしまいました。キングカイザーが初めて競技会で負けたとき、息子たちは泣きました。私は「いつかは負けることもあるだろう」と思って受け入れていたのですが、息子たちの号泣する姿はショックでした。それを見て、「もっと強い負けないロボットを作ろう! 二度と息子たちにこういう気分を味あわせたくない!!」と志を新たにしたのを覚えています。
―― 学校で選考されていた学科や、ご職業がロボット制作のきっかになったのでしょうか?
丸氏 高校は理数科、大学は工学系と学生時代は理系一筋でしたがロボットに関する学科を専攻していたわけではありません。運動がなんでも好きで、特に格闘技は小学校のときから空手と柔道をやっていました。専攻してきた学科の影響というよりも、ロボットが登場するアニメやゲーム、格闘技が好きだったことが、ロボットを制作し格闘競技会に参加するきっかけとなりました。現在の仕事は技術職ですが、直接ロボットに関係があったり、IT系だったりはしません。ロボットは完全に趣味で家族ぐるみで楽しんでいます。
―― ロボット制作の予算はどれぐらいなのでしょうか?
丸氏 ロボットを制作するときは、それぞれ目的が違って実現したい能力も変わってきますから一概には言えませんが、10万円から30万円ぐらいでしょうか。ローカルな競技会だと優勝賞金が10万円から30万円、大きい大会だと100万円のものもありますから、勝ったら元が取れるというか、結局、また新しいロボットの制作費に消えてしまうのですが。
―― ご家族で楽しんでらっしゃるということですが、奥様の反対はありませんでしたか? 制作費が制作費ですし……。
丸氏 実はロボットを作る前はゴルフに夢中になっていたことがあるのですが、ゴルフだと休日まるまる留守にしてしまって家族と過ごせません。私が凝り性なので、ゴルフクラブなどもついつい買ってしまって道具にお金がかかってしまうということもありました。それにゴルフを楽しめるのは私一人でしたが、ロボットなら息子たちも一緒に楽しめます。休日ににずっと息子たちと一緒にロボットのセッティングをしているのを見て、妻も喜んでいるみたいです。
ですから、特に妻に反対されたりとかそういったことはないです。ただ、最初にロボット競技会で優勝して賞金をいただいたとき、「あら、10万円のロボットで賞金10万円もらえちゃうならお金がかからなくていいわね!」ということになってしまって、次の大会に出場したとき変なプレッシャーがかかってしまったということはありました(笑)。
結婚式の余興にロボットでパフォーマンスしてほしいと頼まれたことがあるのですが、そのとき妻が衣装を縫ってくれました。ロボットに話しかけながら楽しそうに作業していましたので、人形やペット感覚なのかもしれません。妻は格闘技は嫌いなので、ロボット同士の闘いはあまり見たくないそうです。野球は好きなのでスポーツがすべて嫌いというわけではないのですが、このあたりは男性と女性の感覚の違いかもしれませんね。
―― アニメやゲームに登場するロボットと違う、実際のロボットだけの魅力はなんでしょうか?
丸氏 最近は、仮装現実的なものが盛んな印象がありますが、実物を直接制御するロボットの世界は面白く奥深いものがあります。私はアニメもゲームも好きですが、現実のバトルでは金属と金属が当たる音など、現場にいて生で感じないと分からないリアリティがあるんです。そういうものも「リアル・スティール」はうまく表現できていると思いましたね。
―― 「強いロボット」を作る秘訣や、競技会出場の際に心がけていることはありますか?
丸氏 ロボットを作るとき、高性能なものを目指してしまいがちです。でも、キングカイザーはそうはしていません。100のパワーを出せるモーターがあったとしても、70から80でやめておくんです。家電など市販されている製品もそうなっていると思うのですが、そうすることで信頼性を高め故障やトラブルを減らし、パーツの寿命も延ばすことができます。
大きな競技会だと1日で5試合したりしますが、連戦していると必ずどこか故障したり、不具合が出てくるものです。私はとにかく準備が大事だと思っています。思いつく限り準備万端整えて出場する。大会出場時は予備パーツは必ず用意しますし、撮り直しができないテレビ撮影などでは同じロボットを2体制作して予備機体として持っていきます。
それから、いろいろな知識を増やすようにしています。最初に競技会で負けたときの原因は無線の故障でした。そのため、機械だけでなく無線のことも調べて研究しました。一見関係ないことでも参考になることがあります。例えば、F-1も参考にしています。フォーミュラーカーは、ノーズウイングやリアウイングなど壊れやすい部分をピットで一瞬のうちに交換できるように設計されています。キングカイザーも同じで、腕や脚など壊れやすい部分はすぐ交換できるように設計しています。
具体的には極力ナットは使わず、すべて電動ドライバーで回すことができるネジを使うようにしていますし、そもそも設計段階でネジの本数はなるべく減らします。また、ステンレスネジは力がかかる強度が必要な部分だけにして、そのほかの部分は磁力が働くクロムメッキのネジを使います。細かなことですが、ドライバーの磁石に付かないステンレスネジだと、ネジが落下してしまい交換作業に手間取る可能性があるからです。
対戦相手が決まったら事前に情報収集します。そしてムービーなどから動きが分かったら、スパーリング用に同じ動きができるロボットを制作して徹底的に練習します。キングカイザーのメインパイロットは、長男の健太ですから、スパーリングの相手は私か次男のセカンドパイロット、龍馬です。
―― キングカイザーを見て「自分も作ってみたい!」と思った読者諸兄姉にアドバイスをお願いします。
丸氏 やはり、最初は各社から販売されているロボットキットを購入することをおすすめします。近藤科学のKHR-3HVやヴイストンのRobovie-Xなど、オールインワンのキットを買って組み立ててみる。次はそれを少しだけ改造して動かしてみる。そういうことを繰り返していくうちに、オリジナルロボットを制作するスキルがついてきます。私も最初は近藤科学製キットのKHR-1を組み立てることから始めましたし、初めてオリジナルロボットを制作するまでは板金加工なんてしたことがなかったので、カッターと定規でアルミ板に何回も切り込みを入れて、折り曲げて切断し、ハンドドリルで穴を開けていました。要はやる気の問題です。私はいつも息子たちに「できるかできないかじゃない、やるかやらないかだ!」と言っています。
各地で行われているロボット関連のイベントに参加するのもオススメです。参加することで仲間、先生ができるんですね。とにかく、1人でも多く二足歩行ロボットのオーナーが増えて競技会などで切磋琢磨、交流できればそれだけ技術が向上し進歩することになりますから、新規のロボットオーナーさんは大歓迎ですよ! 私も今後は、小型で飛び跳ねたりするようなロボット制作にも挑戦したいと思っています。いま息子たちと観ているアニメ、「ダンボール戦機」のようなことができるようになったら面白いですよね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
-
「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
-
ガチ“別人級”……凄腕メイク術駆使したビフォアフが「日本の頂点」と話題、“フォロワー数580万人”の美容系インフルエンサー
-
0歳娘がはじめて歩けた瞬間、パパの顔を見て…… 号泣必至の“表情としぐさ”に「やったねえ!すごいねえ!」「かわいくて涙が」
-
「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
-
「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
-
死んだはずのスズメバチ、お尻をよく見てみると…… 「亡者の執念発動してますね」「だから怖いんだよな」油断できない生命力におののく声
-
『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
-
トリミングでシーズーを「ハムスターにしてください」とお願いしたら…… インパクト大の完成形に「可愛いーーー」「なんて愛おしい鼻毛カール」
-
妻が作ったキャラ弁にフランス人夫と3歳娘が大爆笑! 「怖い」と言われた完成形に「蓋開けた瞬間w」「一緒に笑っちゃいました」
- JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
- 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
- 「ずっと小児」 グランスタ東京の“母の日広告”に賛否…… 運営会社が撤去「違和感覚える方もいた」
- 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
- 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
- 「車庫にランボルギーニがいて駐車できない」→見に行くと…… 「電車の中で絶対見ないほうがいい」衝撃の光景が195万表示!
- JR東日本、ネットバンクサービス「JRE BANK」を発表 JREポイントがたまるなどの特典も
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「900円は安過ぎる」 喫茶店でプリンアラモード購入→見本と違いすぎる“激盛り”に仰天 「逆写真詐欺」
- 森の中で発見された“謎の物体”が618万件表示 「何これ!」「暗号?呪物?」集まる推測や知見と“驚きの事実”
- 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
- 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
- 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評