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第22回:なぜ、最後のボスは正体をなかなか現さないのか?なぜ、人はゲームにハマルるのか?(1/2 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルるのか?」をまじめに考察する不定期企画の22回目は、いわゆる“ラスト”のお約束について。

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 「人はなぜゲームにハマルるのか」を、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回のテーマは、ゲームの世界では最後のボス敵やクライマックスのシーンがすぐ明らかにされないのはなぜか、というお話です。

 「ついに悪の大魔王に勝った!」「最終面をクリアした!」と思いきや、実はまだ続きがあったというまさかの展開が待っていて、思わずビックリしたという経験がみなさんもきっと一度はあるのではないでしょうか。このような演出は、ことビデオゲームにおいては昔から定番になっていると言っても過言ではありません。

 では、お金を払ってまで遊んでいるプレイヤーに対してわざわざストレスがたまるような仕掛けを用意するのはいったいなぜなのでしょうか? 今回は誌面の許す範囲内で、そのヒミツについていろいろ考えてみたいと思います。それでは、最後までごゆるりとお楽しみ下さい!

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」バックナンバー


ハッピーエンドはいったんお預け! 最終ボスにはニセモノが付き物

 苦労の末に最終ステージへと進み、最後に待ち構えるボスキャラを倒したと思ったら実はニセモノだったというパターンを取り入れたゲームは、1980年代から非常によく見られます。

 有名なところでは、1985年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売された「スーパーマリオブラザーズ」。本作は全8ワールド構成で、各ワールドの最後に大魔王クッパが出現するようになっていますが、ワールド1〜7に登場するクッパは別の敵が変身したニセモノで、本物のクッパはワールド8の最終面にしか出現しません。よって捕らわれの身となったピーチ姫を救い出し、エンディング画面を見るためには最後のワールド8をクリアすることが必要です。

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画像画像 元祖「スーパーマリオブラザーズ」より。1〜7ワールドに出現するクッパはすべてニセモノで、本物は最終ステージまで到達しないと見ることができません
(C)1985 Nintendo

 カプコンが同じく1985年に発売したアクションゲームの「魔界村」も、ニセモノのボスが登場する代表例と言えるでしょう。本作は全7ステージ構成で、7面に出現する大魔王を倒すとエンディング画面を見ることができますが、実は大魔王はニセモノ(幻)であることが直後のメッセージで明らかになります。プリンセスを助け出して真のエンディングを見るためには、もう一度1面からやり直して本物の大魔王が待つ7面をクリアしなくてはいけないという、いわゆる2周目を用意して当時のプレイヤーをあっと驚かせました。

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画像画像 発売当時はその難しさでも有名になった「魔界村」。やっとの思いで大魔王を倒したと思ったら、さらに高難度の2周目が待っているという驚きの展開が待っていました
※PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用
(C)CAOCOM CO., LTD. 2005,2006,
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 そもそも、なぜわざわざ手間をかけてボスのニセモノを用意するのでしょうか? 「スーパーマリオ」の場合は全8ワールド(合計32ステージ)の長丁場ですので、もし1面、2面、3面……という単純な並べ方にしてしまうと「このゲームはいったい何面まで続くんだろう?」などと途方に暮れ、途中で投げ出すプレイヤーが続出してしまうかもしれません。そこで、各ワールドの最後(4ステージごと)にクッパとの対決ステージを登場させることによって、たとえニセモノであってもボスを倒せば、プレイヤーに1ワールドを制覇したという達成感と、新たなステージに挑むモチベーションを与える効果が生まれるのです。

 また、「魔界村」のようなアーケードゲームの場合は、設置したお店がインカム(売上)を少しでも多く稼ぐための仕組みがどうしても必要となります。ニセモノの最終面やボスを登場させ、1周クリア後も実はまだ先があることを示すことで上達したプレイヤーにもすぐに飽きられないよう、さらなるチャレンジの場を与えてお店がもうひと稼ぎできるようにしているというワケですね。

 余談になりますが、本作のような“2周目クリアで真のエンディングになるぞ方式”は、その続編の「大魔界村」をはじめ、「闘いの挽歌」「R-TYPE」「イメージファイト」あるいはファミコン版の「飛龍の拳」など、当時はよく見かけたものでした。

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