クレーンゲーム機の定番中の定番、セガの「UFOキャッチャー」売れるのには理由がある(3/3 ページ)

» 2012年12月14日 15時54分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

正しい「UFOキャッチャー」の楽しみ方

 さて、深澤氏から「UFOキャッチャー」をプレイするうえのアドバイスがあったところで、メーカーがおすすめする「正しい『UFOキャッチャー』の楽しみ方」を聞いてみた。

 「どうしても取りたいものがあったり、配置を見ていったいどうやって取れば良いのかさっぱり分からないときは、店員さんに聞くのが正しい楽しみ方です」と高杉氏。筐体の設計に携わり、誰よりも「UFOキャッチャー」のハードに精通している氏が、アミューズメント施設で「これ、どうやって取るんですか?」と聞いている様子を想像するとなんだか微笑ましくなってくるが、専門家が聞くぐらいなのだから、素人がいくら聞いたって恥ずかしくないのだ。

 それだけでなく、アミューズメント施設の店員さんも、プライズゲームコーナーを楽しんで作っていることが多いので、聞かれると嬉しい場合が多いし、親切に対応してもらえることが多いのだそうだ。ほかのゲーム機は、ゲーム機そのものを楽しむものだが、「UFOキャッチャー」はそういったコミュニケーションを含めて楽しむものであり、施設としてもサービス精神旺盛な担当者を配置する傾向がある。女性だと店員さんに声を掛けにくいかもしれないが、勇気を出して話しかけてみると、親切にしてもらえることが多いものだ。店員さんと仲良くなることができれば、より良いアドバイスがもらえるなど「UFOキャッチャー」をさらに楽しむことができる。

画像 大きいプライズはつかんで取るというより、動くポイントを見つけて引っかけて動かして取る。1度で取ろうとすると失敗するので、複数回でずらしていく。ときには、失敗だと思ったらうまい具合に引っかかって取れてしまうこともある。ビデオゲームにはない、偶然の要素があるのが「UFOキャッチャー」の魅力でもある

画像 ボタンが3つの筐体もある。最近の「UFOキャッチャー」には、3つ目のボタンが付属しており増設が可能なためだ。3つ目のボタンでは、クレーンが降下中に高さを途中で止める設定にすることができる。例えば、箱入りのプライズで途中に穴が開いていて、そこにツメを引っかけて取ることができるようになっているものがある。店舗では、棚の形状やボタンの数など、必ず何か理由があってそうしているので、それがどういう意味なのか考えながらプレイするのがポイントだ

もっとも大切にしていること

 「UFOキャッチャー」を開発するうえで、大切にしていることを聞いたところ、まず、「UFOキャッチャー」はメンテナンスが楽で故障が少なく、頑丈で長く使うことができる機械として自信を持って出荷している。それを理解してもらえているからこそ、アミューズメント施設に安心感を持って導入してもらえていると分析しているとのこと。そのため、「まだ動いているのか!?」と思ってしまうような古い機械が稼働しているのを見ると開発者としてはうれしい気持ちと、そろそろ新機種に買い換えてもらえないものかと思う気持ちと半々の複雑な心境になるそうだ。

 社としては、筐体の販売、プライズの販売というビジネスモデルになり、プライズをセガ系列から仕入れてもらっていればそれで売上は確保されるのだが、やはりゲームの開発者からすると新しいマシンも試してほしいと思ってしまうのだ。

 開発においては、同じもの同じことの繰り返しだと、新鮮さ、驚きというものがなくなってしまうので、一見同じように見えるかもしれない「UFOキャッチャー」だが、新機種開発では新しいことに挑戦する姿勢は忘れないようにしている。それらをふまえたうえで、アミューズメント施設運営サイドがどんな運用をしたいと思っているのか、絶えず考えることを大切にして開発している。

 しかし、2、3年後はどうなっているか予想不可能な部分がある。開発する側からすると新たな機能を盛り込み挑戦してみたい気持ちはあるが、あまりにやり過ぎてしまうと「こんなの『UFOキャッチャー』じゃない!」といわれてしまうジレンマもあるのだ。やりすぎた例としては「UFOキャッチャー エクセレント」で、ユニークで親近感がわくだろうと、プレイしていない時間が検知されると、「ぐ〜」と寝てしまう機能を持たせたりもしたそうだ。その後の機種にこの機能は引き継がれていないので、いわゆる「ウケ」が良い機能ではなかったということになるだろう。

 売れている、広く認知されている製品ならではの悩みといえるがこのあたりで、「新しいことを!」という気持ちは常に持ちつつも、プレイヤーの皆さん、オペレーターさんの皆さんの信頼を裏切らないようにということも重要なのだ。

良きライバルの存在

 ジャンルを問わず、売れている製品、活性化しているジャンルに共通してるのは良きライバルの存在だ。もちろん、クレーンゲーム機を開発しているメーカーはセガだけではない。実は、クレーン上部に筒状のパーツを付けるという特許を、2001年までセガが持っていた。その筒があることで、2本ツメでもクーレンが降りたとき垂直のままで倒れることがないという重要なパーツだった。

 特許が切れたときどうなったのかというと、数々のメーカーがクレーンゲーム機開発に参入する事態となった。しかし、1台目を開発したものの後継機種が続かず、といったところが多かった。そのため現在では、数社だけがクレーンゲーム機を開発しており、ライバル関係にあるという。

 「UFOキャッチャー」は「UFOキャッチャー」として求められているものがあるので、前述の通りあまり新製品で冒険できないところはある。それを割り引いても、ライバルが筐体内のレイアウトをより自由にできる大胆なアプローチをしてきた際には、「UFOキャッチャー」開発陣にとってもとても良い刺激になったのだそうだ。

久しぶりに「UFOキャッチャー」はいかが?

 最後に、「最近はあんまり『UFOキャッチャー』してないなあ」「実は一度もやったことないんだよね」という読者諸兄姉にメッセージをお願いした。

深澤氏 「プライズが取れたときのテンションが上がる感じは、ほかの対戦ゲームで勝利したときなどとはまた違った感覚、達成感があって、大人でも思わず『やった!』と声を出してしまうことがあるぐらいです。ゲームをプレイして『何かを持ち帰ることができる』というのもプライズならではの楽しみですので、ぜひ遊びに行ってみてください」

高杉氏 「おもちゃ屋さんとも通常のゲームコーナーとも違うプライズコーナーにしかない商品(景品)もあるので見るだけでも楽しめると思います。店舗ごとに本当に工夫してプライズコーナーを作り上げていますから、その違いを観察してみるのもおもしろいですよ」

(C)セガ
前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news077.jpg ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』、舞台が見えづらいとの指摘に謝罪 「視認性の改善を講じる」
  2. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  3. /nl/articles/2404/30/news156.jpg 「葬送のフリーレン」の勇者一行、ネモフィラ畑に現る 名場面にちなんだコスプレが「これを花畑を出す魔法か」と23万いいね
  4. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  5. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  6. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  7. /nl/articles/2405/01/news014.jpg 1歳娘、ちょっと目を離したら衝撃の光景が……! リアル過ぎるワンオペ現場が190万再生「わかりみすごすぎです」
  8. /nl/articles/2404/29/news009.jpg 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  9. /nl/articles/2403/21/news104.jpg 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  10. /nl/articles/2405/01/news011.jpg 息子「あしたから下敷きいるって」母「ええやつあるで(ドヤ」 母の愛がつまった手作り下敷きに「なにこれめっちゃほしい!」と注目集まる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評